メジャーではなくインディーで活躍することにこだわるAK-69は、通常ならば逆境と も言うべきその状況を逆手にとって、〈インディーだからこそできること〉〈イン ディーだからこそやる意味のあること〉を追求するヒップホップ・アーティストであ る。

KALASSY NIKOFF名義の「Paint The World」をソロ活動の皮切りに、「Redsta -The Rap Attacker-」「Redsta -The Melodizm-」で評価を確立した後、初のベスト盤 「Best Of Redsta」や複数の映像作品などをリリース。2008年には「Triumphant Return -Redsta Iz Back-」を発表した。翌2009年もその勢いは留まらず、地方都市 拠点のインディーズ・アーティストながら倖田來未のアルバムにゲスト参加し、より 広い層に向けて臆せずストリート・ヒップホップを披露。その直後に3万枚限定シン グル“Iron Horse -No Mark- / Let's Party”をオリコン・インディーズ・チャート 1位へ送り込むと、間髪入れず配信された“Lookin' In My Eyez”が映画『ハイキッ ク・ガール』のエンディング・テーマに採用される。いい流れを保ったまま、同年9 月には最新作「The Cartel From Streets」を完成。同作は自身3度目となるオリコン・イン ディーズ・チャート1位のみならず、メジャー勢ひしめくオリコン総合チャートでもデイリー7 位/ウィークリー10位ランクインという快挙を達成。ストリート・スタイルを貫いた まま上位に食い込んだ紛れもない事実は、音楽業界全体にも衝撃を与えた。

「The Cartel From Streets」発売を記念したツアー・ファイナルは、前作同様 ZEPP NAGOYAで開催。先行前売はわずか1分、一般前売も15分でチケットを完売し、 2000人超を2年連続で動員した。〈ヒップホップ・ドリームを体現したヒップホップ・ショウ〉と呼ぶに相応し く、こだわり抜いた映像や特殊効果などを含めエンターテインメント性に富んだその 内容は映像作品化された。

ここまで着実に、そして全速力でステップ・アップしてきたAKだが、彼の目標はま だまだ先にある。そして、ここまでの彼がこなしてきたハード・ワークを見ている と、その行く末には期待をせざるを得ないのだ。黒人をルーツにしたヒップホップ・ ミュージックが、その背景の通り〈持たざる者の音楽〉であるならば、〈イン ディー〉〈地方都市〉など、様々なハンデを(自ら)背負いながらもそれを跳ねのけ ようとするAK-69の姿勢こそ、正真正銘のヒップホップなのである。

吉橋 和宏